2006年08月

ネット上のニュースを読むには編集ツールが必要-2006年08月31日

朝起きたらまずGoogleのパーソナライズドホームでニュースを確認するのが最近の習慣になっている。パーソナライズドホームとは、Googleのトップページに、自分の読みたいと思うニュースのヘッドラインを表示できるようにカスタマイズできるサービスのことだ。例えば、日経新聞、朝日などの新聞社のヘッドラインを同じページにリストアップできる。

あと、Googleニュースもよく読む。Googleニュースは新聞社のニュース情報を収集してページランクの高い順にピックアップしていくものだ。これは新聞の1面記事のように、主要なニュースを網羅することができるので、便利だ。 インターネット上には多くのニュースサイトがある。だから、ネットがありさえすれば、環境としては新聞をとらなくても社会の情勢を知ることが出来る。しかし、実際にはなかなかそうはうまくいかない。たしかにネットを使えばニュースを見ることができる。しかし、多くの新聞社のサイトでは、ずらずらとニュースをリストアップしていて、非常に読みにくい。全体としてどんなニュースがあるのか把握しづらいのだ。

だから、上述のようなGoogleパーソナライズドホームやGoogleニュースのような、「ニュース編集サービス」を利用して、できるかぎり自分のアンテナにニュースがひっかかるように工夫している。

現代のインターネットは自分の趣向に合わせて情報の提供スタイルを「編集」することができるようになっている。インターネットをうまく活用するには、自分に最適な編集ツールを持っているかどうかにかかっていると思う。

可能性の世界を想像する。-2006年08月18日

『知的複眼思考法』を読んでいる。作者は苅谷剛彦。以前大学の授業で取り上げられた『教育改革の幻想』という著書で彼とこの書籍のことを知った。『教育改革の幻想』は、ゆとり教育に関する文科省の政策の背景と、そこにあるステレオタイプな「受験に苦しむ生徒たち」の幻想を、戦後直後から現代までの学力調査のデータをもとに批判した書籍であるが、今回の『知的複眼思考法』は、先の書籍で用いられた批判のテクニックについて書かれた書籍である。著者によれば、『「ステレオタイプ(決まり切ったものの見方)」にとらわれずに、あなた自身の視点からものごとをとらえ考えていくための方法』(=知的複眼思考法)(注1)を解説した書籍であるという。構成は第1章で批判的な読書、第2章で作文方法、第3章で問いのたてかたから展開の仕方までの普遍的な思考方法について書かれ、第4章で本書のテーマである複眼思考の本質について書かれている。

今のところ第2章までしか読んでいない。この書籍はインターネット上でかなり好評であるが、自分としてはきわめてまっとうなことが書かれているなと思う。本書でもっとも重要な点は「かてい」つまり、過程および仮定である。苅谷氏は、第2章の読書法の解説の部分で、文章が書かれるまでの過程を想像し、作者が前提としている考え・イメージを掴んでいくことが批判的な読書であると書いている。そして、第3章の議論の仕方の部分では、他人の考え、文章を批判するときは、駄目な点をあげつらうだけではなく、それをどう修正すればいいのか、提案するべきだと主張している。この修正は、「こうすればよかったのに」という、文章が書かれるうえでありえた可能性を探っていくことに他ならない。つまり、苅谷氏の第2章までの考え方は次の一文に集約される。

存在するものだけを見るのでなく、今存在しないものも想像しろ、それが自分の考えを作っていくことだ。

これは保坂和志の小説論に似た考えである。保坂は、小説を書く際に重要な思考は、今現実に存在するものごとを見るのではなく、ありえたかもしれない可能性の世界を見ることであると『小説の自由』で主張していたはずである。結果ではなく、過程を見ることというのは、芸術一般に認められる鑑賞術であると思う。苅谷氏の思考法は、それが一般的な思考においても適用されるということを示している。その点で、この書籍は非常に面白い。

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